月と体の関係

はじめに

昔から、私たちの身体と「月」には不思議なつながりがあると考えられてきました。

「満月の日は出産が多い」
「月のリズムと女性の月経周期は似ている」
「満月の夜には狼男が目を覚ます」など

どこか神秘的で、でもどこかリアルに感じるこれらの言い伝え。
実は中医学でも、「月のリズム」は自然界の陰陽の変化としてとらえられ、私たちの体や心に影響を与えると考えられています。

今回は、中医学の視点から「月」と「身体」の関係と、暮らしに役立つ養生をお届けします。

自然界で考える「月」の働き

月の代表的な働きに「潮の満ち引き」があります。
これは、月の重力が地球の海水を引っ張ることによって生じます。

◆満潮(まんちょう)
月が地球の海水を引き寄せ、その方向に海面が盛り上がることで起こります。
また、地球の反対側では、月と地球の引力バランスによる遠心力の影響で、同じように海面が盛り上がり、こちら側でも満潮が生じます。

◆干潮(かんちょう)
一方、上記の「盛り上がった部分」から90度ずれた地点では、相対的に海水が引かれ、干潮となります。

このように、月の引力は地球上の「水」の動きに大きな影響を与えています。

中医学には、「人間は自然界の影響を受けて生活しているため、人体と自然界を分けて考えることはできない」とする天人合一(てんじんごういつ)という考え方があります。

私たち人間の体は、約60%が水分で構成されていることを考えると、海水の潮汐のように、月の動きが私たちの体に何らかの影響を与えていると考えるのは、ごく自然なことなのかもしれません。

中国での昔からの言い伝え

中国の古典では、「月」と「身体」の関係を次のように述べています。

黄帝内経 霊枢・歳露論第七十九篇
①人は自然とともに生きている

「人与天地相参也、与日月相応也。」

→人は天地(自然)と調和し、日(太陽)と月と呼応して生きている。

②満月の時の身体の変化

「故月満則海水西盛、人血気積、肌肉充、皮膚緻、毛髪堅、腠理隙、煙垢著、当是之時、雖遇賊風、其入浅不深。」

→満月には、人の気血が満ちて、筋肉が充実し、皮膚は引き締まり、毛髪はしっかりとしていて、皮膚の孔(腠理)は締まり、垢や汚れが肌にとどまりやすくなる。この時期に外邪にさらされても、体の深部までは侵入しにくいとされています。

③新月の頃の身体の変化

「至其月郭空、則海水東盛、人気血虚、其衛気去、形独居、肌肉減、皮膚縦、毛髪残、腠理薄、煙垢落、当是之時、遇賊風、則其入深、其病人也卒暴。」

→新月(欠けていく時期)は、気血が減少し、体を守る(衛気)が離れ、ただ形だけがあるような状態になる。筋肉はやせ、皮膚はたるみ、毛は抜けやすくなり、皮膚の孔(腠理)はゆるみ、垢も落ちやすくなる。この時期に外邪にあたると、それは深く体に侵入し、急激で重い病気となって現れる。

④月経(生理)と月の関係
黄帝内経 素問・上古天真論

「女子二七而天癸至,任脈通,太衝脈盛,月事以時下,故有子。」

→女性は14歳ごろ(2×7の年)に天癸(てんき)に至り、任脈が通じ、太衝脈が充実し、月経が定期的に訪れるようになり、妊娠する力が備わる。

月事」は、現代でいう月経(生理)のことですが、わざわざ“月”という文字が使われているのは、月の満ち欠けの周期(約29.5日)と、女性の月経周期が近いことに由来しています。古代中国の人々は、自然界の月のリズムと女性の身体のリズムを重ね合わせ、まさに“月の事象”として月経を捉えていたようです。

月の満ち欠けに合わせた養生法

🌑 新月

新月は、月が完全に姿を消す「無」の状態。
この時期は、エネルギー(気)や栄養(血)がまだ満ちておらず、心身ともに内に向かう性質が強まります。外に向かって頑張るよりも、「休息と補い」が何よりも大切な養生のテーマです。

新月の時期に出やすい体と心のサイン
・気血の不足:疲れやすい、だるさ、頭がぼんやりする
・感情の内向き傾向:落ち込みやすい、不安感、孤独感
・静けさを求めたくなる:眠気、やる気の低下、人と話すのが億劫

🌿養生のポイント
🔸 早めに寝て、睡眠で回復を図る
→特に22時〜翌2時は「血を作り、肝を休める時間帯」。

🔸気血を補う食事を摂る
→気を補う食材:お米、山芋、かぼちゃ、鶏肉など
→血を補う食材:黒豆、黒ゴマ、レバー、ほうれん草など

🔸 静かに過ごす時間を大切にする
→読書や瞑想、アロマなどで心を落ち着けて。

中医学では、新月は「陰が極まり、これから陽が生まれ始める“始まり”のとき」と考えられています。「休むこと=止まること」と思うのではなく、次に進むための“力を蓄える”時間だと考え、新月には、頑張りすぎず、自分の内側をいたわるような養生を心がけてみてください。

🌕 満月の養生
満月は、月の光が最も満ちる時期。
気血が充実し、体も心も高ぶりやすいときであり、エネルギーが溢れる反面、バランスを崩しやすいタイミングでもあります。

✅ 満月の時期に出やすい体と心のサイン
・気が高ぶる:イライラ、不眠、動悸、焦燥感
・“過剰”な症状:頭痛、のぼせ、便秘、むくみ
・感情の波が激しくなる:集中できない、衝動的になる、涙もろくなる

🌿 養生のポイント
🔸“巡らせる”ことを意識する
→気血が充実している時期なので、軽い運動やストレッチ、深呼吸などで巡りを良くしましょう。

🔸 補う食材や肥甘厚味はほどほどに
→すでに満ちている状態なので、補う食材や肥甘厚味(脂っこいもの、甘いもの、味の濃いもの)は少なめにしましょう。

🔸 感情が高ぶったら「立ち止まる勇気」を
→人とのトラブルや衝動買いなど、気が上に昇る満月期は感情のブレーキが効きにくくなります。「満月だから仕方ない」と割り切る心の余裕が重要かもしれません。

中医学では、満月は「陽が極まり、陰が生じ始める」状態とされます。
光り輝く満月も、次の満月に向けて必ず欠けていきます。
この時期には体の中の整理だと思い、“デトックス”を意識することが、次の新月に向けた準備になります。

頑張るよりも、緩めて整える。「巡らせて、出す」ことが、満月の養生のカギです。

最後に

「なんだか今日は、いつもより疲れるな」
「つい余計な一言が多かった気がする」
「なぜか気持ちが沈むけど、理由がわからない…」

そんなとき、ふと空を見上げてみてください!
それは、“あなたのせい”ではなく、月のリズムと心身の波が重なっているだけかもしれません。

「月のリズム」を意識するだけでも、心がふっと軽くなることがあります。
自然のリズムを感じ取り、日々の暮らしに少しでも取り入れることが、あなた自身を整えていく第一歩なのかもしれません。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

夏バテ・夏の疲れと漢方薬

はじめに

岩手県は梅雨入りしたばかりですが、暦の上では夏至を迎え、いよいよ本格的な夏の訪れです。
ここ数年の夏は30度を超える真夏日が当たり前となり、酷暑による身体への負担が格段に増しています。

晴れの日が続くと気分は明るくなる一方で、

  • やる気が出ない
  • 体がだるい
  • 食欲がわかない
  • お腹の調子が悪い

といった“夏の不調”に悩まされている方も多いのではないでしょうか?

今回は、中医学の視点から「夏バテ」の原因や対処法についてお話ししていきます。

中医学で考える「夏バテ・夏の疲れ」

中医学では、夏の不調は「汗のかきすぎ」によって、体の大切なエネルギー(気)や潤い(陰液)が失われることが大きな原因と考えられています。

① 体内の熱を冷まそうと、必要以上に汗をかく
 ↓
② 汗とともにに「陰液(うるおい)」と「気(エネルギー)」が消耗する
 ・「気」が不足すると、だるさ・倦怠感・やる気の低下に
 ・「津液」が減ると、のぼせ・ほてり・口の渇きなどの症状に
 ↓
③冷却機能である「陰液」が不足し、 さらに暑さを感じやすくなり、また汗をかく
 ※「気」が足りなくなると、汗腺を閉じる力も弱まり、ますます汗が止まらなくなる
 ↓
④ 「気」と「津液」の消耗がどんどん進む悪循環に…

さらに、夏場は体内の熱を下げようと、冷たい飲食物を取りすぎる傾向にあります。その結果、胃腸の働きが低下し、食欲がわかない、お腹がゆるくなる、疲れがとれないなどの夏バテ特有の不調が現れやすくなります。

1.発汗の過多💦

上記の①~④の状態を中医学では「気陰両虚(きいんりょうきょ)」と呼び、夏バテや夏の疲れの大きな原因の一つとされています。

<気虚の主な特徴>

✅やる気がでない

✅疲れやすく体がだるい

✅少し動いただけで息切れする

<陰虚の主な特徴>

✅口や喉がよく渇く

✅顔や手足がほてる

✅寝汗をかきやすい

このような症状が気になる方は、「気(エネルギー)」を補いつつ、内側から「陰(潤い)」を養う漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:麦味参(生脈散)、清暑益気湯、西洋人参など

⚠️「人より汗が多い気がする」「汗の臭いが気になる」「寝汗が止まらない」など、汗のお悩が強い方は、別記事「汗と漢方薬 – 日々の生活に漢方を」もぜひご覧ください。

🌿汗血同源(かんけつどうげん)の話

中医学では「汗(津)血同源:かん(しん)けつどうげん」という言葉があり、汗(津液≒水)と「血」は同じ源からできていると考えます。
つまり、大量の発汗は、体内の水分量の減少だけでなく、「血」の消耗も意味し、血液の循環に関わる心臓への負担も大きくなります。このことから「汗は心の涙」ともいわれています。

2.冷飲食の過多🍻

「冷たい飲み物をガブガブ飲みたい!」

「ビールの”のどごし”がたまらない」

「暑い夜には、アイス・かき氷が最高!」

など、暑い日には、冷たい飲食物が欠かせない!という方も多いと思います。しかし、中医学の観点では、冷たい物の摂りすぎは“夏バテ”を引き起こす一因になると考えられています。

●湿邪困脾(しつじゃこんぴ)

中医学では、胃腸の働きは「脾胃(ひい)」が担うと考え、中でも「脾」は、五行のうち“土”に属する臓腑です。

土が水を含みすぎるとぬかるんで、水はけが悪くなるように、大量の水分や冷たい飲食物がダイレクトに胃腸へ届くと、「脾」に「湿」がたまり、消化・吸収の力が低下してしまいます。このことから、中医学では「脾は湿を嫌う」臓腑とされています。

<主な特徴>

✅食欲がない

✅体や頭が重い

✅吐き気、下痢

「脾胃」に溜まった余分な水分を取り除き、湿をさばく漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:勝湿顆粒、平胃散、胃苓湯など

お酒の飲みすぎや脂っこいもの・甘いものを食べすぎて、「湿」に加えて「熱」がこもってる場合は、「茵蔯五苓散」や「温胆湯」などの熱を清ます漢方薬が適する場合もあります。

●脾胃虚弱(ひいきょじゃく)/ 脾陽虚(ひようきょ)

私たちの胃腸(「脾胃」)は、人間の体温と同じくらいの温度で最もよく働くとされているため、夏の間、冷たい飲食物を摂り続けると、胃腸の温度は徐々に下がっていき、その働きが低下してしまいます。
その結果、中医学では以下のような状態に移行しやすくなると考えられています:
・脾胃虚弱(ひいきょじゃく)(胃腸の消化吸収の力そのものが弱っている状態)

・脾陽虚(ひようきょ)(胃腸の「陽気(温める力)」が失われている状態)

さらに、一度冷えた胃腸は、元の働きやすい温度に戻そうとして余分なエネルギーを使うため、結果的に「だるさ」や「疲労感」がなかなか抜けず、悪循環に陥りやすくなります。

<主な特徴>

✅食欲がない

✅疲れやすく、やる気が出ない

✅下痢・軟便が続く

「脾胃」の働きを高める漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:健脾散(参苓白朮散)、健胃顆粒(香砂六君子湯)、人参湯など

養生

🟡中国のことわざ冬は大根、夏は生姜、医者いらず」

上記で述べたように夏こそ胃腸を労わることが大切です。胃腸を温めるような食材(生姜、紫蘇、みょうがなど)を少しずつ取り入れましょう。香りの良い食材は食欲アップにもつながります。

🟡「気」と「陰」を補う食材
豚肉、長いも、豆乳、豆腐、れんこん など

🟡「熱」を冷ます食材
きゅうり、トマト、ナス、ゴーヤ、冬瓜など

🟡余分な水分を代謝する食材
ごぼう、大根、海藻類、キノコ類

🟡脾胃(胃腸)を養う食材
お米、豆類、キノコ類、鶏肉など

最後に

ここまでご紹介したような養生法を、すべて完璧に実践する必要はありません。
例えば、暑い日にお酒をたくさん飲んでしまった時は、寝る前に白湯を一杯飲んで締める。そして、翌日は、胃腸にやさしい食事を心がける。

このように、身体に負担をかけた日は、その分だけ少し体を労わる。この「引き算と足し算のバランス」が、夏を元気に乗り切るコツです。
勉強と同じで、全部やろうとすると、なかなかやる気が出ず、それ自体がストレスになると思います。だからこそ、まずはできることから少しずつ、中医学の知恵を日々の暮らしのヒントとして、無理なく取り入れてみましょう。

夏バテや夏の疲れでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

起立性調節障害と漢方薬

はじめに

「学校に行きたいのに、行けない」
「どうして朝、体が動かないんだろう…」
「普通の生活がしたいだけなのに」

思春期の子どもたちに多く見られる「起立性調節障害」。
ある調査によると、中学生のおよそ10人に1人が経験すると言われ、不登校の背景にこの症状が関係しているケースも少なくありません。

最近では少しずつ認知されるようになってきましたが、それでもまだ「サボっているだけ」「甘えているんじゃないの?」といった誤解や心ない言葉に傷つく子も多くいます。

病院で検査をしても「異常なし」。薬を飲んでもあまり変化がない。
そんな状況に、どうしたらいいのか分からず、ただ時間が過ぎるのを待つしかない。そんな声もよく耳にします。

中医学(漢方)の視点から、少しでもこの症状に対する理解とサポートの糸口をご紹介できればと思います。

起立性調節障害とは?

💡どんな症状があるの?

起立性調節障害(OD)では、以下のような症状が見られます:

  • 朝、どうしても起きられない
  • 頭が痛い、立ちくらみやめまいがする
  • 体がだるくて、食欲もわかない
  • 時には失神してしまうことも…

このような症状は、
・午前中に強く、午後になると少し楽になる
・立ったり座ったりすると悪化し、横になると楽になる
・気圧の変化(特に雨の前など)にも敏感で、体調を崩しやすい
のも特徴です。

さらに、夜になると目が冴えてなかなか寝つけず、そのような生活が続き、だんだん昼夜が逆転してしまうこともあります。

🤔起立性調節障害の4つのタイプ

💊病院での治療は?

1.薬を使わない治療(非薬物療法)

  • 起きるときは頭を下げて、ゆっくり立ち上がる
  • 立ちっぱなしを避け、1〜2分以上の起立は控える
  • 水分を1.5~2L、塩分は普段+3gを目安に
  • 毎日30分程度のウォーキングで筋力を保つ
  • 早寝早起きで生活リズムを整える

(出典:日本小児心身医学会)

2. 薬を使った治療(薬物療法)

生活習慣の見直しを行ったうえで、必要に応じて血圧上昇作用のあるメトリジン(ミトドリン)やリズミック(アメジニウム)などが使われることがあります。

中医学で考える「起立性調節障害」

中医学では、「起立性調節障害(OD)」の背景に、昇降失調(しょうこうしっちょう)という状態があると考えます。

本来、私たちの体内では――

  • 清気(せいき):エネルギーや栄養は上へと昇り
  • 濁陰(だくいん):不要な水分や老廃物は下へと降りていく

という流れがうまく保たれていることで、心も体も健やかに働いています。

しかし、この上下のバランスが乱れてしまうと、本来届くはずの清気が頭部に行き渡らず、脳が“栄養不足”のような状態に。すると、

  • 頭がぼーっとする
  • めまいや立ちくらみ
  • 朝起きられない
  • 失神してしまうこともある

といった症状が現れます。

この「昇降の流れの乱れ」こそが、中医学で捉える起立性調節障害の根本原因とされています。

1.脾胃虚弱(ひいきょじゃく)

中医学でいう「脾(ひ)」と「胃(い)」は、現代医学でいうところの消化器系。つまり胃腸の働きにあたります。

「脾胃」は、食べたものを消化・吸収し、体に必要なエネルギー(=気)や栄養(=血)を生み出す役割を担っています。さらに、体内の水分代謝を整える働きもあり、「脾胃」がしっかりしていないと、余分な水分が体にたまりやすくなります。

「脾」と「胃」は表裏の関係にあり、お互いに協力しながら働いています:

  • 「脾」は、栄養をしっかり吸収し上へと運ぶ(上昇)
  • 「胃」は、食べ物を受け取り下へ送る(下降)

この“上昇”と“下降”のバランスが崩れる、いわゆる「昇降失調」の状態だと、本来上に届くはずの栄養が頭まで届かず、めまい・ふらつき・朝起きられない・疲れやすいといった「起立性調節障害」のような症状が現れます。

<主な特徴>
✅空腹感を感じない(特に朝)
✅食事量が少なく、すぐお腹いっぱいになる
✅元気がなく疲れやすい など

「脾胃」の働きを整える補中益気湯や黄耆建中湯、半夏白朮天麻湯などが使用されます。また、血虚(栄養不足)の傾向が見られる場合は、「脾胃」の状態を見ながら、婦宝当帰膠や十全大補湯などを使用することもあります。

「脾胃」の詳しい働きは👉五臓六腑:脾胃の働き – 日々の生活に漢方を

2.肝気鬱結(かんきうっけつ)

起立性調節障害の方に多く見られるのが、朝、体が動かない・目覚めてもスイッチが入らないという症状です。これは、医学的には「副交感神経から交感神経への切り替えがうまくいかない」と説明されますが、中医学ではこのような自律神経の調節を「肝(かん)」が担っていると考えます。

精神的なストレスやプレッシャー、不安が続くと、「肝」が我慢の限界を迎え、「気」の滞りを生じます。すると、体や心にさまざまな不調が現れ、この状態を中医学では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。

また、「ストレスを抱えると食欲がなくなる」「緊張するとお腹が痛くなる」といったように「肝」と「脾胃」は密接に関係しており、「肝気鬱結」が起きると、「脾胃」の働きも乱れてしまい、
🔼清気を上へ
🔽濁陰を下へ
という本来の昇降の流れも乱れてしまいます。

<主な特徴>
✅精神的ストレスを抱えている
✅緊張に弱い
✅イライラしやすい など

「肝」の働きを整え「気」の流れを良くする逍遥顆粒や四逆散、開気丸などが使用されます。

「肝」の詳しい働きは👉五臓六腑:肝の働きについて – 日々の生活に漢方を

3.痰飲(たんいん)

「痰飲」とは、体の中に停滞した余分な水分を指します。
体内の水分は、「肺」や「脾」、「腎」の働きによって巡回し、必要な分は吸収され、不要なものは尿や汗として排出されますが、「脾胃」が弱っていたり、水分代謝のバランスが崩れると、余分な水が溜まりやすくなり「痰飲」が形成されます。

この「痰飲」があることで、「気」の流れを妨げられ、身体の“通り道”をふさいでしまうため、清気(栄養やエネルギー)が頭部に届かなくなります。

<主な特徴>
✅体が重だるく、すっきりしない
✅頭が重く、時にはめまいがする
✅ 雨の日や湿度の高い日に体調が悪化する など

余分な水分(痰飲)を処理する苓桂朮甘湯や五苓散、温胆湯などが使用されます。

🦉フクロウ体質って?

「フクロウ」は夜に活動し、昼間は眠っている夜行性の鳥ですね。
そんなフクロウのように…

  • 朝はどうしても起きられない
  • 起きても頭がぼーっとして働かない
  • 朝食も食べる気がしない
  • 午前中は全体的にスローペース
  • でも午後になるとだんだん調子が上がってきて
  • 夜になると頭も体も冴えてくる!

そんな特徴を持つ人を、山本巌先生は「フクロウ体質」と表現しました。

このタイプは、上記でも述べたように、「起立性調節障害」によく見られる体質パターンでもあります。夜になると元気になる一方で、朝に弱く、生活リズムが乱れやすい。まさに「体内時計のズレ」が根っこにあるような状態です。
山本巌先生は、このような「フクロウ体質」に、よく”苓桂朮甘湯”という漢方薬を使用していました。

養生

🍭控えたい栄養素

血糖値を急激に上昇させる食品は、できるだけ控えたいものです。
脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源としていますが、血糖が急激に上下すると、エネルギーの供給が不安定になり、集中力や気分の安定に影響を及ぼします。

特に以下のような食品は注意が必要です。

  • ケーキやクッキーなどの砂糖たっぷりのお菓子
  • 炭酸飲料や清涼飲料水などのジュース類
  • 白い小麦粉でできたパンやパスタ(菓子パン・白パン・うどん など)

これらは「高GI食品」とも呼ばれ、食後すぐに血糖値を急上昇させます。

すると、体は血糖を下げるために大量のインスリンを分泌しますが、これが効きすぎると血糖が急降下することもあります。この状態を「反応性低血糖」といい、血糖の乱高下は、脳にとって大きなストレスになります。

🧠摂取すべき栄養素

上記で述べたように、脳の唯一のエネルギー源は「ブドウ糖」ですが、それだけでは脳は正常に働きません。
脳の健やかな働きを支えるためには、ブドウ糖に加えて、ミネラル(マグネシウム・亜鉛・鉄など)も欠かせません。

脳は「電気信号」によって情報を伝え合っています。
たとえば、

  • 何かを見たとき
  • 考えたとき
  • 感情が動いたとき

このような瞬間、神経細胞(ニューロン)同士が微細な電気信号を送り合っているのです。この電気信号のやりとりをスムーズに行うためには、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムといったミネラル(電解質)が必要不可欠です。

また、鉄は脳へ酸素を運ぶ役割を、亜鉛は記憶や感情に関わる神経伝達物質の合成を助けています。

食材の例
・鉄:黒ゴマ、黒豆、なつめ、ほうれん草
・亜鉛:牡蛎、牛肉、枸杞の実
・カルシウム:小魚、干しエビ、昆布
・マグネシウム:海藻類(昆布、わかめ、ひじき)

最後に

今回ご紹介した3つのタイプ(脾胃虚弱・肝気鬱結・痰飲)は、あくまで中医学的に見た一例にすぎません。
実際には、体温調節が苦手なタイプや、発育や成長過程に起因するタイプなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って、現在の症状が現れていることがほとんどです。

「◯◯を飲んだら元気になったらしいから自分も…」
「SNSで話題の漢方がいいと聞いたから試してみよう…」

そんな気持ちもよくわかります。ですが、顔立ちが人それぞれ異なるように、体の内側=体質は十人十色です。同じような症状でも、原因や体質は全く異なるということも珍しくありません。

だからこそ、悩みを抱えている方には、自分自身の体質に合ったケアや漢方薬を見つけていただきたいと思っています。

僕のような存在が、少しでもそのお手伝いができたら何より嬉しいです。
「起立性調節障害」でお悩みがありましたら、お気軽にぜひご相談ください。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

腸活と漢方薬

はじめに

近年、「腸内細菌」「腸管免疫」「腸内フローラ」といった言葉を耳にする機会が増え、スーパーやコンビニエンスストアでも、”ヨーグルト”や”乳酸菌飲料”など腸内環境を意識した製品が多く見られるようになりました。

しかし、これらを取り入れている多くの方が、「何となく健康に良さそう…」という漠然としたイメージで”腸活”を行っているのではないでしょうか?

そこで今回は、「腸」が私たちの健康にどのような役割を果たしているのか、そして中医学の視点から見た「腸活」について、分かりやすくお伝えします。

そもそも「腸」ってどんな役割?

私たちの体は、食べ物を口から取り込み、食道→胃→小腸→大腸の順番に運ばれ、必要な栄養を取り込み、不要なものを最終的に便として排泄しています。
つまり、人間の消化管は口から肛門までつながった一本の”ちくわ”のような構造をしてます。
この中でも、栄養の吸収と不要物の排泄を担っているのが「腸」です。腸は大きく「小腸」と「大腸」に分かれていて、それぞれ次のような働きをしています。

🔶 小腸

①栄養の吸収
胃や十二指腸で消化された食べ物は小腸に送られ、約5~8時間かけてさらに細かく分解されます。ここで、体に必要な水分と栄養の約80%を吸収します。
ちなみに、小腸は体の中で一番長い臓器で、全長は6~7メートルの長さにもなり、さらに内側の粘膜を広げると、テニスコート1面くらいになるとも言われています。

②不要物を大腸へ
必要な栄養素を吸収し、残った不要物(カス)を大腸へ送ります。

🔶大腸

①水分やミネラルの吸収
小腸から送られてきた内容物から、さらに水分やミネラルを吸収し、便としての形を整えていきます。

②便を体の外へ
最終的に、排出された便を体の外に排出します。

💡「腸」の7つの働き

「腸内細菌」って何?

私たちの腸内には、およそ100兆個以上、500〜1000種類もの腸内細菌が住んでおり、総重量はおよそ1kg程度になると言われています。
これらの細菌は、種類ごとにまとまって腸内に分布しており、その様子がまるでお花畑(flora)のように見えることから、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。

腸内細菌は大きく3つのグループに分類されます。

🔴善玉菌:乳酸菌、ビフィズス菌など
<主な働き>
・身体に必要な栄養素を効率よく吸収する
・ビタミン、たんぱく、体内酵素を産生する
・腸内を酸性に近づけ悪玉菌が増殖しにくい環境にする
・腸の蠕動運動が活発になり老廃物をいち早く体外へ排出する
・免疫機能を高める

🟣悪玉菌:大腸菌(毒性株)、ウェルシュ菌、ブドウ球菌など
<主な働き>
・腸内を腐敗させる
・有害物質(毒素や発がん物質)を作り出す
・有害物質が腸管から吸収され、血管を通って全身をめぐる

🟡日和見菌:バクテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌など
「善玉菌」「悪玉菌」のどちらにも加勢する中立的な菌。
善玉菌が多ければ善い働きをし、悪玉菌が優勢になると一緒になって悪影響を及ぼすため、常に善玉菌を優位に保つことが腸内環境のカギとなります。

腸内細菌の黄金比

食生活の乱れや運動不足、ストレス、老化などで腸内の環境が乱れると、悪玉菌が作り出した有害物質が増えたり、病原菌が臓器に侵入して様々な病気を引き起こす原因となります。

「腸」は人体最大の免疫器官管?

私たちの消化管は、口から肛門までが一本の管のようにつながった構造をしており、食べ物だけでなく、ウイルスや細菌など外界からの異物にも常にさらされています。つまり、「腸」は外部からの刺激を最も受けやすい臓器の一つと言えます。

このような環境から体を守るために、腸には免疫機能が集中しており、全身の約70%の免疫細胞が腸に存在しているとも言われています。まさに腸は、“最大の免疫器官”とも呼べる存在です。

そのため、腸内環境を良好な状態に保つことは、免疫力の維持・強化に直結する大切な要素。腸の調子が整えば、体全体の健康バランスも自然と整いやすくなるります。

中医学で考える「腸活」

腸内環境を整えるためには、善玉菌そのものを摂取する「プロバイオティクス」と、その善玉菌のエサとなって腸内での定着や増殖を助ける「プレバイオティクス」の2つのアプローチが重要とされています。

ただし、腸内にはすでに100兆個以上の細菌が存在しているため、いくら善玉菌(プロバイオティクス)を摂っても、それらが腸内に定着するのは難しいという見解もあります。そのため、より重要とされているのが”腸内の土台を整える「プレバイオティクス」”です。

中医学では、消化吸収の働きは「脾胃(ひい)」が主ると考え、中でも「脾」は、五行のうち“土”に属する臓腑です。栄養豊富な土壌が植物を育てるように、「脾」が健やかであれば、腸内の菌たち(腸内フローラ)も良いバランスで保たれます。

つまり、中医学的に見ると、

  • プロバイオティクス=種(乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌)
  • プレバイオティクス=土(「脾」の働きを整えること)

と捉えることができます。

いくら良い種をまいても、土壌がやせ細っていては芽は出ません。中医学では古くから「脾こそが万物の生みの親」とされており、腸内環境の改善にも「脾」の健やかさが欠かせません。

「脾」の詳しい解説は👉五臓六腑:脾胃の働き – 日々の生活に漢方を

タイプ別の「腸活」

①胃腸の弱り=脾虚たタイプ

✅疲れやすい、やる気が出ない
✅食欲がない
✅食後にお腹が張る、眠くなる
✅下痢・軟便気味

これらのサインは、中医学でいう「脾虚(ひきょ)=脾の弱り」の状態と考えられます。「脾」の働きを補うことで、胃腸の機能を底上げし、腸内フローラが整いやすくなります。
漢方薬の例:健脾散(参苓白朮散)、人参湯、小建中湯など

💡「膠飴(こうい)」が腸を整える!?
小建中湯に含まれる「膠飴(麦芽糖)」は、オリゴ糖の一種で、腸内の善玉菌のエサとなる”プレバイオティクス”としての働きがあります。中医学では、「脾」の働きを高める漢方薬として古くから使われてきましたが、現代の栄養学的観点から見ても、腸内環境を整える作用が期待できる、まさに伝統と科学が重なる”漢方の知恵”の一つといえるでしょう。

②老廃物の停滞=痰湿・湿熱タイプ

✅脂っこい物、甘い物、味の濃い物やお酒が好き
✅口が苦い、臭い、粘る
✅メタボ体型
✅舌に苔がべっとりついてる

このような状態は、中医学では「痰湿(たんしつ)」や「湿熱(しつねつ)」と呼ばれる、体内の老廃物や余分な水分・熱が滞っている状態と捉えられます。

悪玉菌の原因となる老廃物を取り除くことで、腸内環境のバランスも整いやすくなります。
漢方薬の例:平胃散、温胆湯、五行草(馬歯莧)など

💡老廃物が溜まると…

中医学では「脾は湿を嫌う」と言われています。
たとえば、水はけの悪いグランドでは、足が取られ体の動きが悪くなりますよね?「脾」も同じで、体の中に「湿(老廃物)」がたまると「脾」の機能は低下し、腸内環境のバランスが乱れてしまいます。

③暴飲暴食=食積タイプ

✅お腹いっぱいじゃないと満足できない
✅胃がもたれる・げっぷやガスが多い
✅排便してもスッキリしない
✅便やおならのにおいがきつい

このような状態は、中医学では「食積(しょくせき)」と呼ばれ、食べすぎ・飲みすぎによる消化不良が起きている状態です。

「脾胃」の消化容量を超えた食べ物は、胃腸に負担をかけ、「痰湿」や「湿熱」といった老廃物の原因となります。漢方薬の例:晶三仙、加味平胃散など

💡発酵食品の入った漢方!?

晶三仙に含まれている「神曲」は、フスマや大麦などを発酵させた生薬です。発酵食品は、腸内の善玉菌を増やす“プロバイオティクス”としても注目されており、消化を助けながら腸内環境を整えるという、「神曲」には一石二鳥の働きがあります。

最後に

<脾胃を守る養生法😌>

🟡冷たい物を避ける
→冷たい物は脾胃を傷つけます。

🟡肥甘厚味を避ける
→肥:脂っこい物、甘:甘い物、厚:味の濃い物は脾胃に負担をかけます。

🟡腹八分を心掛ける
→胃がもたれない・苦しくならない、身体が重くだるくならない、眠くならない程度の食事が良いとされています。

🟡一口30回を目安に噛む
→食べ過ぎ防止、消化を助けることにつながります。

現代では、「腸活」が一大ブームとなっていますが、中医学では、はるか昔から胃腸=「脾胃」を整えることが健康のカギとされてきました。

乳酸菌や整腸剤などの現代的アプローチも、こうした先人の知恵と組み合わせることで、より理想的な腸=*「栄養豊富でバランスの良い“土壌”」へと近づけるかもしれません。

体質や症状に合わせた中医学的「腸活」にご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

目の不調と漢方薬

はじめに

現代では、小さな子から年配の方までスマホやタブレット、パソコンの使用が日常の一部になっています。ある調査によると、日本人が1日に画面を見ている時間は7〜10時間といわれ、1日の1/3は何らかのデジタルデバイスの画面と向き合っている計算になります。

この「長時間の画面接触」が原因で、目の乾き・かすみ・疲れ・視力の低下といった“目の不調”を訴える人が年々増えています。
目のトラブルは単なる疲労だけではなく、頭痛や肩こり、集中力の低下、さらには睡眠の質の悪化など、さまざまな不調を引き起こす引き金にもなります。

「目」の仕組み

・水晶体:角膜を通して張ってきた光を屈折させて網膜に映し出す。
・前房:房水によって角膜や水晶体に酸素や栄養を供給し、眼圧を一定に保って眼球に張りを持たせる。
・硝子体:コラーゲンと水でできたゼリー状の組織。内側から適度な圧力をかけて眼球の形状を保つ。
・網膜:角膜から入ってきた光が像を結ぶ場所。

(「読む目ぐすり」参照)

中医学で考える「目」

中医学では、目は五臓の働きや精気の状態が現れる場所であり、五臓や精気が充実していれば、物がよく見えると考えられています。

<目と五臓の関係:五輪学説>

・肉輪(上下の眼瞼):「脾」は筋肉(肌肉)と関係があることから、眼瞼は「脾」に属します。まぶたがたるむ(眼瞼下垂)や眼瞼の浮腫みは、「脾」が弱っているサインかもしれません。
漢方の例:補中益気湯、五苓散など

・血輪(目頭、目尻):「心」は血液(血脈)と関係があり、眼角の充血には「心」が原因とされることがあります。
漢方薬の例:黄連解毒湯や三黄瀉心湯など

・気輪(結膜):肺は白色と関係があることから、白目の部分(結膜)は「肺」と関係があります。細菌やウイルス、花粉などによる急性結膜炎は、「肺熱(はいねつ)」と呼ばれる状態で、肺に熱がこもっているときに起こりやすいです。
漢方薬の例:銀翹散、越婢加朮湯など

・風輪(角膜):黒目の部分である角膜は「肝」と深く関係しています。中医学では「肝は目に開竅(かいきょう)する」といわれ、目のトラブル=肝の働きと直結すると考えられています。詳しくは下記で説明します。

・水輪(瞳孔):中医学における「腎」は「生命力の源」であることから、加齢や老化とも関係が深いとされます。白内障や緑内障など、加齢による目の症状は「腎」の弱りと結びついて考えられています。
漢方薬の例:杞菊地黄丸、亀鹿仙など

「肝」と「目」は深い関係

上記で述べたように「肝」と「目」には、非常に深い関係があります。
中医学の古い書物には、目は「肝」に属する器官であり、目の機能は「肝」の働きが調和し正常であれば良く見える状態が保たれ、五色を見分けることができると記されています。

1.肝血虚

昔から、貧血の人にはレバーが良いと言われるように、「肝」には「血」を貯蔵する働きがあり、この「血」が十分に貯蔵されていることで「肝」の働きは正常に保たれます。また、中医学には「久しく視れば血を傷る」という言葉もあり、現代のように長時間スマホやPCを見る生活は「肝」の栄養源である「血」を著しく消耗させます。

<主な特徴>
✅目がかすむ、ぼんやり見える
✅目が乾燥する
✅目、瞼が痙攣する

「肝血」を補う漢方薬の例:婦宝当帰膠、心脾顆粒、十全大補湯など

2.肝腎陰虚

中医学には、「肝腎同源(精血同源)」という考えがあり、「肝」が「血」を蓄えて全身の血液量を調節し、「腎」はその「血」のもととなる「精」を生み出します。「肝」と「腎」、そして「精」と「血」は、それぞれが支え合いながらバランスを保ち、私たちの生命活動を支えています。
そのため、目の酷使により「血」が消耗すると、「血」や「生命の根源」である「精」も徐々に枯渇していき、目の不調だけでなく、体力が低下したり、疲れが取れにくくなったりと老化現象のような症状を生じやすくなります。

<主な特徴>
✅ドライアイ、目薬が手ばせない
✅視力が落ちてピントが合わない
✅加齢に伴う目の不調(老眼、緑内障、白内障、加齢黄斑変性症)

「肝腎」を強化し「精血陰液」を補う漢方薬の例:杞菊地黄丸、亀鹿仙、二至丹など

3.瘀血

目の健康を保つには、上記で述べたように「肝」に「血」が豊富にあること、そして「血」が滞ることなくスムーズに目まで行き届けることが重要となります。

「血」の巡りを改善する漢方薬の例:冠元顆粒、血府逐瘀丸、桂枝茯苓丸など

4.目の不調によく使われる生薬

中医学特有の表現に「明目」という言葉があります。字の如く、目を明るくはっきり見せるという意味で、目の機能を高め、疲れやかすみを改善することを指します。

<代表的な生薬>
🟡菊花(きくか):爽やかな香りから「気」の巡りを良くし、ストレスや目の酷使により高ぶった「肝気」を鎮めます。中国では、目の疲れた時にお茶としてよく飲まれています。」

🟡枸杞子(くこし):スーパーフードの「ゴジベリー」。古来より補腎の生薬として知られ、精を補い視力を改善する働きがあります。漢方薬の杞菊地黄丸にも入ってます。

🟡決明子(けつめいし):目の炎症を抑え良く見えるようになることから「決明」と名付けられました。日本では、よく便通の改善にも使われます。

🟡石決明(せっけつめい):アワビの貝殻の生薬。別名「千眼光」よ呼ばれ、「肝」の高ぶりを抑え、目の酷使による頭痛や飛蚊症などに使われます。

最後に

<質の良い睡眠が目を守る!💤>

中学では、午前1~3時は「肝」が活発に働く時間帯とされています。
この時間にきちんと熟睡できてると、全身の「血」が「肝」に集まり、老廃物を解毒・浄化し、栄養豊富な「血」へと生まれ変わります。

「目が疲れやすい」「視力が落ちてきた」「寝ても疲れが取れない」
そんな方は、寝る前のスマホやタブレットを手放して、質の良い睡眠を意識してみましょう。

「目を使ことが増えた」「最近、見えにくくなってきたかも」
そんな時、中医学の視点で体の内側を見直してみると、良い効果が得られるかもしれません。目のトラブルは、単なる疲労ではなく、「肝」「腎」など五臓からの悲鳴のサインかもしれません。体質に合わせた漢方薬や食事、生活習慣を整えることで、目だけでなく、全身のバランスも整っていきます。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

メンタルと漢方薬

はじめに

仕事や人間関係、将来のこと…私たちは日々の生活の中で、多くのストレスやプレッシャー、不安を抱えながら生きています。特に日本人は、感情を表に出すことが苦手であり、自分の気持ちを抑え込むタイプが多く、心のモヤモヤやイライラを上手に発散できない方が多いと言われています。

さらに、この時期は、新社会人や新学期、新生活などの生活環境の変化に加えて、寒暖差が激しく、三寒四温と言われるように暖かい日が続いたと思ったら、急に気温が下がったりと気候面での変化も多く、自律神経が乱れやすい時期です。

「いつもよりイライラする」
「何だか不安感が強い」
「やる気がでない…」 

その行き場のないメンタルのお悩みを、中医学の力で改善してみませんか?

中医学におけるメンタルの考え方

西洋医学ではメンタルの不調を「脳と神経」の問題と考えますが、中医学では「心身一如:しんしんいちにょ」という考えがあり、心と体は切り離せすことができず一体であると捉え、精神と身体は互いに影響していると考えます。そのため、メンタルに不調がある時は、身体にその要因があると考え、体内を整えながら精神を落ち着かせます。

「七情」と「気・臓腑」の関係

人間が持つ基本的な感情を表す言葉として「喜怒哀楽」がありますが、中医学では七つの情緒「怒・喜・思・憂・悲・恐・驚」で考えます。これらの感情は、人間らしく生きるために必要不可欠ですが、精神的刺激が強過ぎたり、長期間続くと「気」や「臓腑」の活動に影響を与え、心身に不調をきたします。

肝:怒則気上(怒れば則ち気が上る)
心:喜則気緩(喜べば則ち気が緩む)
脾:思則気結(思えば則ち気を結ぶ)
肺:悲則気消(悲しめば則ち気が消える)
腎:恐則気下(恐れば則ち気が下りる)/ 驚則気乱(驚けば則ち気が乱れる)

上記の中でも特に「肝・心・脾」への影響が強く、メンタルの不調はそれらの臓腑のバランスを整えることが重要となります。

1.肝タイプ

中医学における「肝」は、現代医学でいう「自律神経」の働きに近く、ストレスや憤りを強く感じたり、憂鬱な状態など精神的な負荷がかかると肝の「疏泄」機能が失調し、気の巡りが停滞します。

「肝ってどんな働きがあるの?」という方はこちらのブログも参考になります👇
五臓六腑:肝の働きについて – 日々の生活に漢方を

<主な特徴>
✅イライラする、怒りっぽい
✅感情の波が激しい
✅ため息が多い
✅脇腹が張る

「肝気」の巡りを良くする漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:逍遥散、四逆散、大柴胡湯など

2.心タイプ

西洋医学では、「脳」が精神を主るとされ、セロトニンやドーパミンなどの脳内の伝達物質が、感情や思考、行動に影響を与えると考えます。
一方、中医学では、「心」が「脳(神明)」を支配していると考え、精神的な働きである「こころ」としての役割を担っています。
また、「心」は、「心」は血(けつ)によって養われる臓であるため、「血」が足りない状態になると、精神的に不安定になりやすく、心が落ち着かず眠りにも影響が出てきます。

<主な特徴>
✅不安感が強い
✅動悸がする
✅物忘れが多い
✅寝付けない、途中で起きる

「心血」を補う漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:心脾顆粒(帰脾湯)、天王補心丹、酸棗仁湯など

3.脾タイプ(脾=胃腸)

「はらわた(腸)煮えくり返る」「腹が立つ」「腹を決める」など、感情を表す言葉には”お腹”にまつわる表現がたくさんあるように、昔の人達は、腸と精神活動には何かしらの関係があると考えていました。

近年では、「脳腸相関」や「腸は第二の脳」という言葉も登場し、腸内環境がメンタルに大きく関与していることが科学的にも明らかになってきました。
実際、腸は「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンや、「やる気ホルモン」とされるドパミンなどの神経伝達物質を数多く生産しいるとされています。

「脾」タイプは、上記の「肝」や「心」のタイプと結びつくことが多く、以下のような症状が現れやすいことが特徴です。

✅緊張するとお腹が痛くなる、下痢をする、お腹が張るなど
→「気」の巡りを良くしながら「脾胃」の働きを改善すると良いでしょう。
 漢方薬の例:開気丸、逍遥散、四逆散など

✅心配事や不安なことがあると食欲がなくなる、眠れないなど
→「心血」を補いながら「脾胃」を建て直すと良いでしょう。
 漢方薬の例:心脾顆粒、加味帰脾湯、人参養栄湯など

また、日ごろから
✔下痢・軟便が多い
✔食欲がない、食生活が悪い
✔疲れやすい

などの症状がある方は、胃腸の働きを整える健脾散(参茯白朮散)や、消化を助ける晶三仙、腸内環境のバランスをサポートする五行草などを活用して、体の内側からケアしてあげると良いでしょう🌿

4.その他(腎タイプ)

最近では、男性更年期という言葉を耳にする機会も増え、女性だけでなく、ある年齢を境に生じる心身の不調が注目されています。

中医学では、こうした更年期や加齢による不調を老化に関わる「腎」の衰えと考え、「腎」に貯蔵されている「腎精」の減少をいかにゆるかにするかが症状改善のポイントとなります。

このタイプに該当する方は、「腎」の力を補う漢方薬(補腎薬)を中心にメンタルの症状に合わせて漢方薬を併用すると良いでしょう。
補腎薬の例:瓊玉膏、亀鹿仙、海馬補腎丸など

「腎ってどんな働きがあるの?」という方はこちらのブログも参考になります👇
五臓六腑:腎の働き / 補腎のすすめ – 日々の生活に漢方を

最後に

現代人は、誰しもが何らかのストレスや不安を抱えており、精神疲労やうつ状態を生じやすい環境の中で過ごしています。
だからこそ、日常的に発生するストレスを「気のせい」と我慢せず、体のバランスを整えることで心を軽くしていくアプローチが重要です。
中医学の考えや漢方薬をうまく活用して、少しでも「こころ」の負担を軽くできるようなお手伝いができたらと思います。
「自分はどのタイプだろう?」「どの漢方が合っているの?」と迷った方は、お気軽にご相談ください。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐


 

五臓六腑:肝の働きについて

はじめに

厳しい寒さもようやく落ち着き、段々と春の訪れを感じる季節になりました。
春の暖かさや桜の開花で心が躍る一方、春は気候(寒暖差、春一番)や環境(新年度、新生活、新学期)の変化が大きく、心身ともに疲弊する方が多い時期でもあります。

中医学では、春は「肝」との関連が深い時期とされ、春に不調が出やすい方は出来るだけ「肝」への負担を減らしてあげることがポイントとなります。春の変化にスムーズに適応できるように中医学における「肝」の働きを理解し、気持ちよく春を迎えましょう。

「肝」の働き

①疏泄(そせつ)を主る

お互いの考えや意見を理解し、気持ちが通じ合うことを意思疏通(疎通)と言いますが、この「疏」には塞がっているものを滞りなく通じさせる、そして「泄」には排泄の言葉から連想されるように何かを押し出す、流すという意味があります。つまり、「疏泄」とは、何かを滞りなくスムーズに流れるということを指し、中医学における“その何か”とは全身の「気」の流れを意味します。

中医学では、人間の身体は「気」「血」「津液」などで構成されていると考え、その中でも「気」は生命活動を支えるエネルギー的な存在であるとともに、情報を伝え身体全体のバランスを整える情報伝達物質でもあります。

・情志を調節する
伝達物質としての「気」は主に「肝」の「疏泄」機能によりコントロールされますが、ストレスや憤りを強く感じたり、憂鬱な状態が続いたりなど精神的な負荷がかかると「疏泄」機能が失調し、「気」の流れが停滞することにより精神活動に影響を及ぼします。

気持ちを落ち着ける時に深呼吸をしたり、嫌なことがある時に溜め息をつくのは、ストレスによって生じた気の滞りを散らすという本能的な反応なのかもしれません。

・消化吸収を促進する
飲食物の消化吸収は「脾胃(胃腸)」で中心的に行われますが、肝の「疏泄」機能は「脾胃」の気の流れも調節しており、胃腸における正常な消化吸収をサポートしています。
普段は何も問題がないのに、プレゼン発表や面接、試験前などある特定の場面になると、食欲が無くなる、下痢をする、お腹が痛むなどを訴える方がいますが、これは肝の「疏泄」機能が失調したことで「気」の流れが停滞し、胃腸の働きをコントロールすることができなくなったことが原因といえます。

・血液運行を維持する / 水液代謝を調節する
中医学には「気は血を行(めぐ)らす」「気は津液を行らす」という言葉がありますが、「気」は内臓や組織・器官などを活発にする働き以外にも、身体中の「血」と「津液(水・潤い)」の循環をスムーズに巡らす働きも担っています。
そのため、「疏泄」機能が低下し「気」の流れが悪くなると、「血」が停滞した「瘀血」の状態や余分な水分が滞った「痰湿」の状態へとつながり、頭痛や肩凝り、生理痛、浮腫みなどが生じやすくなります。

上記のように「疏泄」の働きは、現代医学の脳からの指令(視床下部)や自律神経(交感神経⇆副交感神経)の働きに近いとされ、身体の様々な働きに影響を与えます。

②蔵血(ぞうけつ)を主る

貧血にはお肉のレバーを食べると良いと言われるように、「肝」には「血」を貯蔵する働きがあります。また「肝」は血を貯蔵するだけではなく、血液量の調節も行っており、各組織器官、特に目や筋、爪、子宮(詳細は下記参照)などの組織を養い正常な生理活動を維持する働きがあります。

「肝」と五行の関係

③肝は筋を主り、その華は爪にある
「筋」とは筋肉と骨、関節を連結する組織を指し、現代医学の腱や靭帯、筋膜などの働きに近いといわれています。この「筋」は肝の「血」(肝血)により養れ、もし「肝血」が不足すれば筋には栄養がいかず、こむら返りや瞼が痙攣するなど筋の収縮や弛緩に問題が生じます。
また、中医学では「爪は筋の余り」という言葉があり、爪も筋と同様に「肝血」により養われます。「肝血」が十分にあれば硬く丈夫な爪となりますが、「肝血」が不足すれば爪は柔らかく脆くなり、爪が割れたり、筋が入りやすくなります。

④肝は目に開竅する / 肝の液は涙である
目には多数の血管が通っていることからも分かるように、目を使うことは多くの「血」の消耗へとつながり、その栄養源は「肝」に貯蔵されている「血」となります。中医学の古典にも「肝受血、而能視」とあり、「肝血」が十分にあることで視力が保たれます。目が霞む、眼精疲労、ドライアイなど目の症状でお悩みの方は、もしかしたら「肝血」不足が原因かもしれません。

⑤肝の志は怒
中医学では「怒りは肝を傷る。怒れば則ち気上る。」という言葉があり、怒りやイライラ、強い憤りなどの感情は「肝」に影響を与え、「気」の停滞へとつながります。また、怒った時に頭に血が上るという表現がありますが、激しい怒りによる興奮は「気」を上昇させ、顔が赤くなったり、頭痛を引き起こしたり、目の充血へとつながります。

⑥肝と関係がある季節は春である
「肝」は五行の木の分類に属すことから、その働きをよく植物に例えられます。植物は冬の寒い間、土の中で幹や根に栄養を蓄え、春になり暖かくなると新芽が顔を出し始め、太陽に向かって上へ上へと成長します。この流れは、人間の体内も同様で、冬に蓄えていた「エネルギー:陽気」が春の訪れとともに活溌になり始めます。また、芽を出した植物(木)たちが、のびのびと成長することを好むように、私たちの身体に流れる「気」も停滞することなく、のびやかに流れることで私たち身体全体の活動が安定します。
つまり、「春」と「肝」は「のびのびと成長し、活動的になる」という共通の性質を持ち、「肝」の働きが活溌になりやすい「春」は、上記で述べた「疏泄」機能が失調し「気」の乱れを生じ自律神経のバランスを崩しやすくなります。

最後に

「肝」に負担がかかりやすい春は、心も体も「自由気ままにのびのび過ごす」ことが養生のポイントになります。新年度を迎えるからと何か新しいことを始めよう!と意気込む方もいますが、春に不調を感じやすい方は周囲の流れに惑わされずに、自分のペースを保つことを心掛けてみてください。

<オススメ養生>
①お散歩
「気」の巡りを良くする代表的な漢方に「逍遙散:しょうようさん、加味逍遙散:かみしょうようさん」がありますが、この「逍遥」とは、元々は「気ままに散歩する」という意味があります。気分転換が苦手な方は、心地よい春の陽気を感じながら、自由気ままにのびのびとお散歩してみてください。

②「香味、補血、苦味」の食材を摂る
・香味:春菊、三つ葉、紫蘇、みょうが など
→香りの良い食べ物は「気」を巡らせます。

・補血:なつめ、クコの実、ほうれん草、小松菜、黒ごま など
→「血」を補うことで正常な肝の働きをサポートします。

・苦味:ふきのとう、タラの芽、わらび、たけのこ など
→冬にため込んだ老廃物を排出します。


薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

 

風邪の予防と漢方薬

はじめに

コロナウイルス(COVID-19)の流行がようやく落ち着きを見せたと思ったのも束の間、冬の訪れとともにインフルエンザやマイコプラズマ肺炎など、別の感染症が猛威をふるっています。。

かつては、体調を崩せば病院へ行き、薬局で必要な薬を手に入れることが当たり前でした。
しかし、現在では、医薬品の製造や流通の問題、薬価の引き下げなどが重なり、抗生物質や咳止めといった風邪薬が品薄・欠品となる事態が続いています。

このような状況の中で、私たちが出来ることは「症状を発症してからの対応」ではなく、いかにしてコロナウイルスやインフルエンザ、風邪に感染しない身体を作ることではないでしょうか。

🌿 中医学の知恵「未病先防(みびょうせんぼう)」
中医学には「未病先防:みびょうせんぼう」という考え方があります。
これは、病気が発症する前に体質をみながら対応するという「予防医学」に近い考え方です。
”未病”ケアを得意とする中医学の考えを取り入れ、感染症に負けない身体作りを目指してみませんか?

感染症カレンダー

実際に風邪をひいてしまったときの中医学的なケアについては👇
カゼと漢方薬 – 日々の生活に漢方を

中医学で考える風邪の予防

1.ウイルスや細菌から身体を守る

板藍根(ばんらんこん)は、「漢方の抗生物質・抗ウイルス薬」と呼ばれ、中国の家庭では風邪やインフルエンザの常備薬として古くから親しまれています。

中国では、1989~1990年のウイルス性肝炎の流行時に、効果的な抗ウイルス薬がなかったことから「板藍根」の研究が進み、治療と予防の中心的な薬剤として使用されました。
さらに、2003年に中国で大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の際には、中国の衛生局が「板藍根に予防効果がある」と発表し、中国のみならず日本でもその名が広く知られるようになりました。

🌱漢方的な働きと効能

板藍根の主な働き
🔺清熱解毒(せいねつげどく)
🔺涼血利咽(りょうけつりいん)
→熱による炎症や血中の熱を取り除き、喉の痛みや熱を下げる働きがあります。

現代医学的にも
🔺抗ウイルス作用(多くのウイルスの働きを抑制)
🔺抗菌作用(幅広い抗菌スペクトルを持ち、多種類の細菌に対し効果)
があることが報告されています。

こんな時にオススメ!
✅周りで風邪が流行っている時に
✅人混みに行く前/行った後に
✅テストを控えた受験生や仕事を休めない時に
✅疲れからヘルペスが出そうな時に

💡飲みやすく、携帯しやすい形も◎

板藍根には
☕ 顆粒タイプ(お湯に溶かしてお茶のように)
🍬 飴タイプ(外出時の喉ケアに)
など様々なシーンで使用できます。
また、健康食品のため子供から年配の方まで安心して使用できます。

2.バリア機能を高める

ウイルスや細菌、花粉などから身を守るには、「体の中に侵入させない防御力=バリア機能」がとても大切です。
この感染源から身体を守る力を中医学では「衛気(えき)」と言い、皮膚や鼻・気管支などの粘膜細胞の強化と関係し、外的刺激から身体を守る働きをしています。

衛気力のチェック!
✅風邪をひきやすい
✅冷房や冷たい風に弱い
✅汗をかきやすい
✅鼻水が出やすい、垂れる

「黄耆(おうぎ)」や「白朮(びゃくじゅつ)」は、昔から「衛気」を高める生薬として知られています。
この2つはよくペアで使用され、衛気力が弱い方はこの2つが含まれた漢方薬である「衛益顆粒(玉屏風散)」を使用すると良いとされています。

🌸 花粉症対策にも!
この「衛気」を高めておくことは、花粉症の予防・軽減にもつながります。
詳しくは👉「花粉と漢方薬 – 日々の生活に漢方を

3.乾燥を防ぐ

感染症の予防には、「衛気」の働きを高めることが大切ですが、皮膚や粘膜などのバリア機能を保つには、ウイルスや細菌などの異物を洗い流すための”潤い”も必要となります。

乾燥度のチェック!
✅口を開けて寝ている
✅空咳がよく出る
✅喉や鼻の中が乾燥しやすい
✅呼吸器系が弱く、風邪を引くと咳が止まらない

中医学では、「邪気(ウイルス、細菌など)」の侵入にかかわる皮膚や目/鼻/喉の粘膜は「肺」がコントロールしていると考えます。
漢方薬では「肺」の働きを高め潤いを与える麦味参(生脈散)や「肺」や「胃」の潤いを補う百潤露などを使用すると効果的でしょう。

4.幻の茸シベリア霊芝(しべりあれいし)

ロシアのシベリア地方に自生する「チャガ(シベリア霊芝)」は、その地域に“がん患者が少ない”という調査結果から世界中の注目を集めたキノコです。

地元の人々は、シベリア霊芝をお茶として飲む習慣があり、その背景には、そ免疫の調節や炎症の抑制、利尿などの効能があるということが分かりました。

漢方的な働きは、補気健脾(ほきけんぴ)や補肝益腎(ほかんえきじん)があるとされ、胃腸や肝腎(西洋医学の肝と腎とは異なる)の働きを高め、ウイルスや細菌などと戦うために必要な力を補う働きがあります。

こんな方にオススメ!
✅ちょっとしたことで風邪を引く
✅すぐ疲れる、体力の低下が気になる
✅普段から食欲がない
✅板藍根を服用するとお腹を下す

最後に

病気を未然に防ぐことを得意とする「中医学」と、
病気が発症してから治療を行う「西洋医学」。
それぞれに強みと役割があり、どちらも私たちの健康にとって欠かせない存在です。

あなたの体質に合わせた漢方薬や生活養生を通して、コロナ・インフルエンザ・風邪などに負けない“ブレない体”を育てていきましょう。

「今年こそ、風邪をひかない冬にしたい」
「なるべく薬に頼らず、自然な形で体調を整えたい」
そんな想いがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

口臭と漢方薬

はじめに

「あれ?もしかして自分の口、臭ってる…?」
ふとした瞬間に気になる“口の臭い”。

人と話す前に手で口を覆ってチェックしたり、マスクで口元を隠したり、会話中も「大丈夫かな?」と相手の反応を伺ってしまう…
そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

実際に口臭に悩まれている方の多くは
✅歯磨きや舌掃除
✅ガム/タブレット
など、基本的な口腔ケアをしっかり行っているにもかかわらず、
「なかなか改善しない」「一時的に良くなってもすぐに臭ってきてしまう」
というお悩みを抱えていらっしゃいます。

中医学では、こうした口臭の原因を「口の中だけの問題」とは考えません。
実は、体内で発生した「熱」が原因となって、口臭として現れるケースが多いです。

漢方薬は、表面的な対処ではなく、「熱の」原因を根本からアプローチできるのが強みです。
他人の目を気にせず、もっと自信を持って笑顔になれる毎日を、漢方と一緒に目指してみませんか?

口臭の原因

口臭の原因は①生理的原因と②病的原因、そして③飲食物や嗜好品による外因的要因の3つに分類されます。

中医学で考える口臭

上記でも述べたように中医学では、臭いの原因を体内で発生した「熱」によるものと考え主に以下の3つ分類されます。

1.胃熱(いねつ)

中医学における「胃」の働きは、現代医学の機能と近い部分があり、主に以下のような機能を担っています。

①受納(じゅのう):飲食物を受け入れる

②腐熟(ふじゅく):飲食物を消化しやすい状態にする

③降濁(こうだく):消化した飲食物を小腸へ降ろす

「胃熱」とは、胃の働きが過剰になり、まるでエンジンが“オーバーヒート”している状態。
この状態では、①~③のの働きが活発となり、食べても食べてもどんどん空腹感を感じるようになります。その結果、胃の処理(腐熟)能力を超え、飲食物がうまく処理されず悪臭を漂わせるようになります。
まさにゴミ収集車に回収されず残ったゴミが悪臭を放つイメージです。

<主な特徴>
✅食べてもすぐ空腹になる
✅冷たい飲み物を好む、口・喉が渇く
✅便秘
✅舌全体が紅い

「胃」の熱を清ます漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:黄連解毒湯、三黄瀉心湯、半夏瀉心湯など

💡胃熱の主な原因とは
🔺食生活の問題
→脂っこいもの、甘いもの、味の濃いものやアルコールの過食過飲は、「胃」に熱を溜め込みます。

🔺ストレスの影響
→精神的なストレスを受けると、自律神経を主る「肝」の働きが乱れます。
この「肝」が隣接する「胃」に影響を及ぼすと、「胃」の働きが過剰になり「胃熱」の状態へと変化していきます。
ストレスを感じたり、生理前(PMS)になるとつい過食してしまう方は、、「肝」の不調から「胃熱」に至っているケースが考えられます。

2.湿熱(しつねつ)

本来であれば体外へ排出されるべき、ドロドロとした余分な老廃物——
中医学ではこれを「痰湿(たんしつ)」と呼びます。

この「痰湿」が対何に長く停滞すると、次第に熱を帯び「湿熱」という状態へに変化していきます。
「胃熱」と同様、胃内に蓄積された飲食物が腐敗し蒸されることで口臭の原因となります。

<主な特徴>
✅口が粘る
✅暑がりで汗っかき
✅胸焼けがする、胃酸が逆流する
✅舌に苔がべっとりついてる

口臭の原因でる「湿熱」を除去する漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:星火温胆湯、黄連解毒湯、瀉火利湿顆粒など

❗ 舌掃除では根本解決にならない…?
口臭対策のひとつとして「舌の掃除」をされる方も多いと思います。

もちろん一時的な口臭の軽減にはなりますが、そもそも舌に苔がつく理由は、体内に停滞した「痰湿」や「湿熱」が原因です。

つまり、体の中に原因である「痰湿」や「湿熱」が存在する限り、どれだけ舌を掃除しても苔は生まれてしまうということです。
根本的な改善のためには、舌苔を“取り除く”のではなく、“できにくい体質”に整えることが大切です。

3.虚熱(きょねつ)

「虚熱」とは、体を冷やすために必要な“潤い”が不足することで、相対的に熱が発生している状態をいいます。
口の中には「唾液」、胃の中には「胃液」という潤いがあり、これらには
🔸食べ物の消化を促す
🔸食べかすや汚れを洗い流し口内を清潔に保つ
🔸食べ物の消化や栄養の吸収を促す
なのどの重要な働きがあります。

したがって、口内や胃内の潤いが減ってしまうと、未消化の飲食物が残りやすくなったり、体内の冷却水の減少から発生した「虚熱」が口内にこもり口臭の原因となります。

<主な特徴>
✅ドライマウス
✅空腹感はあるが食欲はない
✅胃の灼熱痛、痞え
✅舌の苔が少ない

身体に潤いを補う漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:甘露飲、竹葉石膏湯、麦門冬湯など

最後に

ここまで紹介してきたように、口臭は体質や普段の食生活と密接に関わっています。

もし口臭が気になる方は、まずは和食中心のヘルシーな食事を心がけながら、下記のような“体にやさしい食材”を積極的に取り入れてみましょう。

💡タイプ別おすすめ食材

🔸胃熱・湿熱タイプ
・野菜:苦瓜、きゅうり、チンゲンサイ、ゴボウ
・お肉:豚肉
・果実:スイカ、キウイフルーツ、バナナ
・その他:緑茶、お蕎麦、海藻類

🔸虚熱タイプ
・野菜:レンコン、ゆり根、大根、トマト
・お肉:豚肉
・果実:梨、ブドウ、マスカット
・その他:豆乳、蜂蜜、白キクラゲ

🧠 実は「におっていない」ことも?

口臭のお悩みの中には、実際には全く臭いがしていないのに「自分の口が臭っている気がする」と思い込んでいる場合(自臭症)もあります。
この場合は、「熱」による問題ではなく「こころ=精神面」へのアプローチが必要となります。

漢方薬や日々の養生を通じて、「においを気にせず笑顔で過ごせる時間」を一緒に取り戻していきましょう。

においのお悩みがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

ダイエットと漢方薬

はじめに

誰でも一度は「ダイエット」のことで悩んだことがあるのではないでしょうか?

・健康や美容のためにダイエットをしようかな
・ダイエット⇔リバウンドを繰り返してしまう
・色々な○○ダイエットを試したけど、思うような効果が得られなかった
・今年こそは痩せる!が口癖になっている

巷では、簡単!すぐに痩せられる!と謳い様々な〇〇ダイエット法がありふれてますが、体質や体のバランスを無視した方法では、十分な効果が得られないばかりか、逆に体調を崩してしまうこともあります。

無理な食事制限や過度な運動により、たしかに体重は減ったけれど、疲れやすくなったり、便秘・貧血・肌荒れなどの不調が出てしまったという声も少なくありません。

中医ダイエットとは?

「中医ダイエット」とは、中医学の理論に基づくダイエット方法です。
単に体重を減らすことを目的とするのではなく、「太りやすい体質」の原因を考え、身体で起きている細かな不調を整えながら、健康的に「痩せやすい体質」へと導くことを目標にしています。

体質を改善しながら進めるため、肥満の解消や体重を落とすことと同時に肩こりや頭痛、疲れやすい、浮腫みなどの身近な不調を改善できるのが魅力の一つです。
中医ダイエットで自身の体質を理解しながら、無理のないダイエットで身体の中から”痩せる”身体づくりを目指しませんか?

中医学で考えるダイエット

中医学では、太りやすくなる体質や肥満になる原因として下記の4つのタイプに分けて考えます。

1.🪫脾胃虚弱(ひいきょじゃく)

「脾胃」は現代医学で言う「胃腸」に相当します。
私たちが食事から得た栄養をもとに、生命活動に必要なエネルギー(気)や、血液・体液のもとになる「血」や「津液(しんえき)」を生成する重要な働きを担っています。

「脾胃虚弱」の状態では、胃腸機能の低下により下記の状態へと陥りやすくなり、太りやすい体質へと繋がります。

🔍 脾胃虚弱によって起こる主な問題
1.気や血を作り出すことができない
→ 基礎代謝の低下、疲れやすい、やる気の低下

2.水分代謝が機能せず、体内に余分な水分が溜まる
→ 浮腫、下痢や軟便

<主な特徴>
✅疲れやすい、やる気がでない
✅食欲不振
✅汗をかきやすい、風邪を引きやすい
✅下痢・軟便気味
✅身体が重い

「脾胃」の働きを高めながら、「気」を補う漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:健胃顆粒(香砂六君子湯)、健脾散(参苓白朮散)、防己黄耆湯など

2.🗑️痰湿/湿熱内蘊(たんしつ/しつねつないうん) 
本来代謝・排泄されるべきドロドロとした余分な老廃物を中医学では「痰湿」と呼び、この「痰湿」が長期的に体内にとどまると、次第に“熱”を帯び「湿熱」という状態へと変化します。

🌱 痰湿・湿熱が溜まる背景とは?
「痰湿」や「湿熱」は食生活と深い関係があり、肥甘厚味(肥:脂っこい物、甘:甘い物、厚:味の濃い物)の多い食事を摂り過ぎると、胃腸に負担がかかり身体に余分な老廃物が蓄積されやすくなります。

<主な特徴>
✅悪心、胸やけ
✅下痢・軟便気味
✅身体が重い、浮腫む
✅肥甘厚味の過食、アルコールの多飲
✅肌が荒れやすい
✅口が苦い、粘つく

余分な水分や老廃物を除去する漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:星火温胆湯、胃苓湯、茵蔯五苓散など

食べ過ぎや夜遅い食事が習慣になっている方は、食べ物を消化を促す「晶三仙(山査子、麦芽、神曲)」を併用するとより効果的です。

🔁 脾胃虚弱タイプとの関係性
「脾胃虚弱」の体質がベースにある方は、飲食物の消化吸収や水分代謝の機能が低下しているため、老廃物である「痰湿」や「湿熱」が溜め込みやすい傾向んいあります。また、中医学では「脾は湿を嫌う」という言葉があり、「湿」が溜まることで「脾」の機能が低下し、さらに「湿」が発生しやすくなります。

3.🌀肝気鬱結(かんきうっけつ)
 中医学における「肝」は自律神経全般を主ると考えられており、全身の「気」や「血」の流れを調節しているとともに精神面の安定にも関与していると考えらています。

通常、「肝」が正常に機能している場合では、精神的な負荷に対して一定の耐性があり、受け流すことができますが、ストレス負荷が強い場合や長期間ストレスを受けている場合は、自身の「肝」の閾値を超えてしまい自律神経のバランスが大きく乱れへます。
このような状態を中医学では「肝鬱」と呼び、発散することのできないストレスが鬱々と蓄積し、「気」や「血」の滞り(気滞、瘀血)を引き起こします。

<主な特徴>
✅イライラしやすい
✅脇腹や胸が張る
✅ストレスが原因で食べ過ぎる
✅PMS(月経前症候群)がある
✅月経不順
✅下痢と便秘を繰り返す

「肝」の働きを整え、「気」の巡りを良くする漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:逍遥顆粒、開気丸、大柴胡湯など

「気」の巡りが良くなると基礎代謝も上がるため、上記症状の改善とともに体重の減少へとつながります。

4.🩸瘀血(おけつ)
 「瘀血」とは、血の巡りが悪くなり、血液がドロドロとした状態を指します。このドロドロとした血液には、中性脂肪やコレステロールが含まれており、体内に「瘀血」が蓄積されると内臓脂肪や皮下脂肪がつきやすくなるため、メタボ体系のような肥満の身体へとつながります。

🌊 川の流れにたとえる「瘀血」の原因

瘀血の形成にはいくつかの原因が複雑に関与しており、これを川の流れに例えると以下のように説明できます:

①痰湿や湿熱:川に土砂やゴミが溜まり、水の流れが阻害される状態
②肝気鬱結(気滞):岩が多く、水の流れがせき止めらている状態
③気血不足:水の流れに勢いがなく、石や土砂が溜まりやすい状態
④冷え:川の水が凍り、流れが悪い状態

このように、「瘀血」の改善には単に巡りを良くするだけではなく、その流れを妨げている根本原因にもアプローチする必要があります。

<主な特徴>
✅肌くすみやシミ、そばかすが気になる
✅肩こりや首こり、頭痛が酷い
✅月経不順
✅生理痛がある(出血時にレバー状の塊が出る)
✅舌裏の血管が太く怒張している

漢方薬の例:冠元顆粒、血府逐瘀丸、田七人参など

5.その他(防風通聖散)
ダイエットの漢方薬として非常に有名な「防風通聖散」。
その高い有効性と速効性から肥満症に使われることが多いですが、そもそもはダイエットの目的の薬ではなく、カゼを引いたときに使用する漢方薬です。

🔍 防風通聖散の主な働き

✔体表の邪気を汗とともに発散させる
→カゼ症状(悪寒、発熱、頭痛など)の軽減

✔体内にこもった熱を便や尿とともに出す
→口渇、便秘、尿黄短少の改善

⚠️ 注意すべき体質
無理やり発汗させ、身体(特に胃腸)を冷やし便通や排尿を促すため、気が不足しているタイプや脾胃虚弱タイプ、冷え体質の方は向いていない漢方薬となります。

最後に

中国では、昔から「養生七分、治三分」という言葉があり、健康で暮らす上では日々の養生(生活習慣)が何よりも重要と考えます。
逆に言えば、効果のあるお薬を飲んだところで養生を疎かにしていたら、一向に症状は良くならないということです。(一時的に症状が改善しても、すぐに再燃する方が多いのは、養生の影響かもしれません。)

太る一番の原因は、”食事の内容”とよく言われますが、太りにくい体質を作るには、食事内容の見直しに加え、脾胃(胃腸)に負担をかけず、身体内に老廃物を溜めないような習慣が重要になります。
また、漢方薬を吸収する臓腑は脾胃のため、胃腸の状態を健康に保つことは、漢方薬の吸収を高めることにもがつなります。

📝 毎日の生活に取り入れたい習慣

✅食事の比率は「穀類4~5割、野菜4割、動物性食品1~2割」を目安に
→穀類:米、小麦、大豆など / 野菜:葉物野菜を中心に旬のもの / 動物性の食品:肉、魚介類、卵、乳製品など

✅腹八分を心掛ける(胃がもたれない・苦しくならない、身体が重くだるくならない、眠くならない程度の食事)

✅一口30回を目安に噛む

✅生のもの、冷たい飲食物を控える

✅脂っこい物、甘い物、味の濃い物を控える

✅20時以降に食事をしない

当店では、漢方相談に加えて、薬局併設の施設にて運動機器を用いたフィジカルサポートも行っております。

漢方薬による体質改善と、適切な運動・ストレッチを組み合わせることで、ダイエットはもちろん、病気になりにくい「健康な身体づくり」をトータルでサポートいたします。

ご興味がある方は、ぜひ当店までご連絡ください。

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐