はじめに
汗には、体内の不要な老廃物や毒素の排出(デトックス)、体温調節、皮膚の保湿など大切な役割があります。
しかし…
☑少し動いただけで汗がダラダラ
☑更年期に入り汗が気になる
☑寝汗が酷く、パジャマやシーツがびっしょり
☑手や足、脇の汗・臭いが気になる
☑緊張すると汗が止まらない
など、日常生活に支障が出るような”不快な汗”に悩んでいる方も多いと思います。
「病院に行くほどではないけど…」「他人にも相談しにくいし…」
そんな方へ、中医学の視点から汗の原因について考えたいと思います。
中医学で考える汗💦
中医学では次の5つのタイプで汗の異常を考えます。
1.🫁肺気不足(はいきふそく)
中医学における「肺」には、呼吸系の働き以外に体表にある汗腺の開閉をコントロールする役割を担っています。
そのため、「肺」の力が弱っている方は、汗腺(中医学では「腠理:そうり」)が緩んだ状態であるため、少しの動きで汗が漏れ出たり、邪気が入りやすく風邪を引きやすくなります。

🔍 こんな方に多い
✅活動後に汗が出やすくなる
✅風邪を引きやすい、冷気(冷房)を嫌がる
✅疲れやすい
✅すぐ息が切れる
「肺」の働きを高める漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:衛益顆粒(玉屛風散)、補中益気湯など
2.⚖️営衛不和(えいえいふわ)
「営衛不和」とは、「営気(えいき)」と「衛気(えき)」のバランスが崩れた状態をいいます。
🟡営気:「津液(水)」を「血」に作り変え、体に栄養や潤いを届ける
🟡衛気:皮膚の表面を守るバリアのような気で、汗腺の開閉もコントロール
この2つのバランスが崩れると、「衛気」が「営気」をとどめておくことができず、汗として外に出てしまいます。

🔍 こんな方に多い
✅発汗後、風に当たるとゾクゾクと嫌な感じがする
✅半身や局所的に汗がでる
✅カゼの様な症状を伴う(軽い発熱、悪寒、だるい)
「営衛」のバランスを整える漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:桂枝湯、桂枝加竜骨牡蛎湯など
3.🔥陰虚火旺(いんきょかおう)
中医学では「心」は火(陽)に、「腎」は水(陰)に属し体内の温度調節を行っていると考えられています。

「陰虚火旺」の状態では、体内を冷却する「水(陰)」が不足することで、相対的に「心」の力が増すため、「火(陽)」の亢進が起こり汗をかきやすくなります。
🔍 こんな方に多い
✅寝汗をかく
✅手足がほてる、微熱がある
✅口が渇く
✅便秘気味
冷却水(腎陰)を増やし、火を鎮める漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:瀉火補腎丸(知柏地黄丸)、六味地黄丸など
4.♨️湿熱鬱蒸(しつねつうつじょう)
本来代謝・排泄されるべきドロドロとした余分な老廃物を中医学では「痰湿」と呼び、この「痰湿」が長く停滞すると、やがて熱を帯び「湿熱」という状態へと変化します。
まるで、生ゴミが腐って熱を持つように、体内で熱を帯びた「湿熱」は汗となって噴き出します。

🔍 こんな方に多い
✅蒸すように汗が出る
✅口が苦い、臭い、粘る
✅舌に苔がべっとりついてる
✅脂っこい物、甘い物、味の濃い物やお酒が好き
余分な水分や老廃物を除去するとともに熱を清ます漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:瀉火利湿顆粒、茵蔯五苓散など
5.肝気鬱結(かんきうっけつ)
「大事な場面で汗が噴き出して止まらない…」
そんな経験はありませんか?😓
中医学における「肝」は自律神経全般を主ると考えられており、全身の「気」の流れを調節し、精神面の安定に関与していると考えらています。
過度なストレスなどにより「肝」の働きが乱れると「気」の流れが滞り、「肝気鬱結」という状態になります。
🔍 こんな方に多い
✅精神的な負荷がかかった場面で汗が出る
✅普段からストレスを感じやすい
✅情緒が不安定になりやすい
「肝」の働き正常化し気の流れを良くする漢方薬を使用すると効果的です。
漢方薬の例:加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蛎湯など
⚠️大量の発汗=健康とは限らない?
一般的に汗を大量にかくこと=デトックスだと考えられ、サウナやホットヨガなど不自然に大量の汗をかくことがブームになっていますが、これらは万人に合うものではありません。
特に「1.肺気不足」「2.営衛不和」「3.陰虚火旺」のタイプには、無理な発汗はオススメできません。
中医学では「汗(津)血同源:かん(しん)けつどうげん」という言葉があり、汗(津液≒水)と「血」は同じ源からできていると考えます。
つまり、汗を大量にかくことは、体内の水分量の減少だけでなく、血の消耗も意味し、血液の循環に関わる心臓への負担も大きくなります。このことから「汗は心の涙」ともいわれています。
サウナで「心が整う」感覚も、ひょっとしたら暑さに耐えた達成感からくるものであり、実際には「心はもうやめてくれー!」と悲鳴を上げているかもしれません。
最後に
汗が出てしまう原因や体質は人それぞれです。
不快な汗の原因を中医学的に見極め、体質に合う漢方薬と食養生で整えていきましょう。
「つらいけど、どうしたらいいかわからない」
そんな時こそ、お気軽にご相談ください😊
薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐