感染症 No1 戦いの歴史をふり返る


4月15日放送分 ナカノメすかやかDAY 毎週水曜日 15:30から

新型コロナウィルスに不安を感じている方も多いと思います。しかし、人間は常に感染症との闘いを行ってきました。過去を振り返ることに今を生きるヒントがあります。

先人の努力を紐解いてみましょう。

1.天然痘

人類と感染症の戦いの歴史を振り返ることができる資料は、紀元前に埋葬されたエジプトのミイラに天然痘の痕跡があるとされています。

日本では6世紀に流行し、それ以降は周期的に患者が発生しました。天然痘はウィルスによる感染症です。感染力が強く、致死率も50%にも及び非常に危険です。治っても発疹が残り見た目にも無残な状態になると言われています。ワクチンの普及で1980年にWHOは天然痘の絶滅宣言を行っています。

2.ペスト

14世紀ヨーロッパで猛威を振るったのはペストです。人口の3分の1、2500万人が死亡したと言われています。ペストはねずみやノミの体内に生息するペスト菌による細菌感染症です。日本でも19世紀末から1920年ごろ流行しましたが、ペスト菌の発見者の一人、北里柴三郎の尽力で1926年以降は発症していません。日本では克服した感染症の一つです。

ペストには抗生物質が効果を発揮します。しかし、世界的には今でも散発的に発生していますので、要注意です。

3.スペイン風邪

20世紀にパンデミックを引き起こしたのが、スペイン風邪です。第一次世界大戦中の1918年に大流行し4000万人が亡くなったと言われています。 「新型インフルエンザ」(山本太郎著 岩波新書)スペイン風邪はインフルエンザウィルスによる感染症です。中国南部、米軍キャンプで発生したと2つの説があると書いています。 いずれにせよ、世界大戦でヨーロッパに派遣された兵士によって、拡散し世界規模になったのです。当時は戦時下で戦争当事国は患者数を公表せず、中立国であったスペインが被害を公にしたため、命名されたのです。 スペインには迷惑な話ですね。

日本でも2300万人が感染し、38万人が犠牲になったと記録されています。

スペイン風邪は鳥が媒介するA型インフルエンザと後から判明します。鳥から豚などに感染したウィルスが変異して、それが人に感染したと言われています。

また、当時は戦時中であり、医療や食糧事情に困窮していた点も死亡者数を増大させた可能性も指摘されています。当時の対策は政府発行の「流行性感冒予防心得」(1919年)にあります。その内容は・・・・。