在宅避難のすすめ・正しい車中泊

 在宅避難の備蓄。備蓄は7日分。

 発災時は避難所に行くからいいと思っている人が少なくない。半日や一日だけのいっときだけ避難するのであればそれは間違いではない。しかし、そこで暮らすには厳しい現実が待っている。当然温かく十分な食事など期待できない。プライバシ-はなく、暗い、臭い、汚い「3Kトイレ」に一時間並ぶことを覚悟しなければならない。子供の泣き声、いびき、足音が絶えず、毛布一枚支給されても寒いし痛いし、眠れるものではない。電気、ガス、水道、電話が停止していても、安全が確保できたら自宅の自分の布団やベッドの方がよほどよく眠れる。その方が関連死にならないで済むのである。

 失ったら取り返せない「命」を守るために、食う寝るところ、住むところの安全対策・安全確保をしっかり行うことが最優先事項である。地震対策としては、我が家の耐震化の推進と室内の家具や電化製品転倒落下防止対策も欠かせない。津波、水害、土砂災害のおそれのある地域であれば、より安全な高台、地形、地盤を選ぶ必要がある。浸水のおそれがある場合は上階に避難できるように構造や避難場所を確保することも大切。

 自宅が安全であれば、そして建物が堅固であれば、感染症懸念の避難所に避難しなくても済む。今のうちに安全な家に住む(する)ために何をするかを家族で話し合って判断し行動すべきである。そして家の安全確保と合わせて最低7日分の備蓄も必須である。

 これまで「水や食料の備蓄は3日分」と言われてきたが、その根拠は「発災後72時間(3日間)、防災関係機関は捜索、救助、救出が最優先される。物資の配送等に手が回らないので、その間は自力で対応できるように備蓄する」というものであった。しかし、これまでの大規模災害の経験からすれば、物資が3日で被災地に行きわたるような災害はそれほど大きな災害ではない。災害に備えるというのは大規模災害に備えることである。大規模災害ともなれば、生活インフラだけでなく流通も途絶し大混乱に陥る。それが復旧するまでに最低でも一週間は見ておかなければならない。2020年のコロナ禍でわかったように、日本の物流は極めて脆弱な需給バランスの上に成り立っている。いったんパニック買いが始まると、あっという間に店頭からモノが消える。


 車のトランクに防災備蓄

 車は第2の避難場所になる。また、余震などが続き不安で眠れない時、一時的に安全な場所に移動し仮の寝室にもなる。一定のプライバシ-が保たれ、ラジオがあり、携帯やスマホの充電ができ、冷暖房がついている。トランクに非常用品をストックしておけばさらに安心である。